【新事業進出補助金】採択の9割は「数値計画」で決まる。

第一回目が絶賛審査中の新事業進出補助金。第二回公募に向けて準備を進めている事業者様も多いのではないでしょうか?

計画書の作成にあたり、多くの方が革新的な「事業コンセプト」や詳細な「SWOT分析」に最も力を注いでいるかもしれません。しかし、第一回公募で多くの申請を支援した我々の結論から言うと、正直なところ、そこで大きな差はつきません。

素晴らしいアイデアや的確な環境分析は、今や「できて当たり前」の世界です。では、どこで評価が分かれるのか?答えは明確です。それは、事業計画のリアリティを映し出す「数値計画」の精度です。

今回は、巷の解説ではあまり語られない、採択を真に左右する「勝てる数値計画」の作り方を、プロの視点から徹底解説します。

ポイント1:その売上、分解できてますか?「営業利益」に繋がる収益計画の作り方

「初年度売上目標:3,000万円」——。

このように、最終的な売上目標だけが書かれた計画書はほぼ評価されません。審査員が知りたいのは、その数字の「中身」です。

Warning

減点されがちな計画

  • 売上目標の根拠が「市場規模から見て、シェア5%は十分に狙えるため」といった曖昧な記述に終始している。
  • 売上は伸びているが、コスト構造が甘く、営業利益が増加するロジックが不明確。
Success

確実な配点のためのポイント

売上計画は「単価 × 数量」の積み上げ式で示す

売上目標は、必ず分解して示してください。事業モデルに応じて、例えば「(例)客単価5,000円 × 顧客数500人 × 平均利用回数12回/年 = 3,000万円」のように具体的な計算式で表現します。これにより、売上目標が机上の空論ではないことを証明できます。

「内諾」や「引合い」で数字の確度を高める

計算式に加え、その確実性を示す定性的な情報があれば、必ず追記しましょう。「(例)主要取引先であるA社からは、新製品について年間〇〇個の発注を示唆いただいております」といった記述は、計画のリアリティを飛躍的に高めます。

必ず「営業利益」の増加に繋げる

そして最も重要なのが、その売上が営業利益の増加に繋がっていることです。補助金は、将来の成長と分配の原資となる「利益」を生み出す事業にこそ投下されます。売上拡大と利益確保の両立こそが、実現性の高い計画の土台です。

ポイント2:賃金計画の「2つの車輪」は両方回っていますか?

賃上げ要件は、この補助金の最重要項目の一つです。そして、ここで評価が大きく分かれるのが「2つの車輪」の考え方です。

Warning

減点されがちな計画

  • 新規に低賃金の従業員を多く採用することで「給与支給総額」は大きく伸びているが、「一人当たり給与支給総額」は微増、あるいは減少している。
  • 新規事業により給与の原資となる営業利益が増加していない。
Success

確実な配点のためのポイント

「給与支給総額」で事業の成長性と雇用拡大を示す

この指標は、新規雇用創出への貢献度や、事業全体の成長スケールを示す重要な数値です。事業拡大に伴い、会社として人件費に投資する総額が力強く伸びていることをアピールします。

「一人当たり給与支給総額」で分配の質を示す

こちらは、従業員一人ひとりへの還元の質を示す指標です。既存従業員の昇給や、専門人材の適切な待遇での採用など、「雇用の質」を高める姿勢を具体的に示します。

「両輪の成長」で成長と分配の好循環をアピールする

最も高く評価されるのは、この2つの指標がバランス良く成長している計画です。企業の成長(車輪①)と従業員の豊かさ(車輪②)が、両輪となって前に進む。「成長と分配の好循環」を実現する強い意志と、それを裏付ける収益計画を示すことが満点評価への最短ルートです。

ポイント3:その数字、どうやって作りましたか?「課題分析」と「客観的根拠」で固める

完璧な数値計画も、その根拠が「希望的観測」では意味がありません。審査員は「その数字の妥当性」を厳しくチェックします。

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減点されがちな計画

  • 課題分析が浅い: 事業の課題として「技術開発」だけを挙げ、オペレーションやマーケティング、資金繰りといった経営全体の課題を想定できていない。
  • 市場分析が主観的: 市場規模や成長性について、「将来性がある市場です」といった感覚的な記述に終始し、公的な統計や調査レポートなどの客観的データによる裏付けがない。
Success

確実な配点のためのポイント

SWOT分析から多角的な「課題」を設定する

課題分析が甘ければ、計画達成までの道のりが具体的に見えません。「技術」「オペレーション」「財務」「マーケティング」など多角的な視点から課題を挙げ、それぞれに具体的な解決策とスケジュールを提示することで、計画の解像度が一気に高まります。

市場規模・成長性を第三者機関のデータで裏付ける

全ての売上計画の前提となる市場規模や成長性は、必ず第三者機関のデータを引用しましょう。公的な統計や信頼できる調査レポートを提示することで、そもそも事業が成立する市場が存在することを客観的に証明します。

「競合比較表」で自社の優位性を客観的に証明する

市場が存在しても、その中で「なぜ自社が勝てるのか」を説明できなければ意味がありません。具体的な競合を複数挙げ、「価格」「性能」「サポート体制」などの項目で比較し、自社の優位性を明確に示すことが、計画の説得力を担保します。

まとめ:事業コンセプトで悩む時間を、数値計画の精査に使おう

素晴らしい事業コンセプトは、もはやスタートラインに過ぎません。第二回公募を勝ち抜くために本当に重要なのは、利益を出し、従業員に還元できる、実現可能な数値計画を、誰が見ても納得できる客観的根拠と共に提示することです。

Information

「自社の計画は、この『勝てる数値計画』になっているだろうか?」

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